サッサリ市街散策(五日目)
【21 Nov. 2018】 -サルデーニャ五日目-
優しさがしみる幸福感からスタートする朝。
今朝は少し遅めの朝食です。
朝早くから仕事に出たGさんは、私のカフェラテのためにエスプレッソだけ作っておいてくれていました。
ところが、Tさんがカフェラテの為のミルクを温めようと火にかけてくれたところで、プロパンガスが終了してしまいました。
「コンロが使えないのでミルクを温められない」と申し訳なさそうに言うTさん。
私はカフェラテにこだわりがあるわけでもなく、冷たくてもぬるくても気にならないので「大丈夫ですよ。」とエスプレッソに冷たいミルクを注ぎました。
いつもGさんはカップの縁まで波々と注いでくれますが、私は少なめにしてカップの縁から2センチほど手前で注ぐのをやめました。
その様子をじっと観察していたTさん。
「真剣な顔で見つめられてるなぁ」と思っていたのですが、その理由は次の日以降にわかりました。
どうやらこの時、私が自分で注いだミルクの量が「私好みの配分」だと感じたようす。
そのことをGさんに伝えたのでしょうか、、。
次の日から私のカフェラテの量は満タンではなく、昨日私が入れた量と同じだけになりました。
・・・どこまで気遣いできるんだ!この人達は!
相手の仕草や行動で何かを感じ取ろうとすることで、カタコトの言葉のやり取りでのおぼつかない部分が補われているのでしょう。
今日は雨の中、二人でサッサリ市街を散策予定です。
車以外では、家からサッサリまで出るにはバスしかありません。
バスの到着時刻に合わせて家を出て、傘をさしながらバス停に向かいます。
マンションの駐車場を横切ろうとした時、初日に海岸でお会いしたご近所のおじさんとばったりお会いしました。
「どこへ行くの?」
「今日は二人で、サッサリまでバスで行く」
「雨の中?二人でバスに乗って?、、、。ワシがサッサリまで車で連れてったろ!」
(多分こんな会話です😂)
ありがたいことに、このおじさんが車で連れていってくれることになりました❣
「オッカァに伝えて、鍵をとってくるから待ってなっ!」みたいな感じで私達を駐車場に待たせ、一旦家に戻ってくれました。
・・・なんていい人なんだ。。
彼女たちのご近所さんとの関係の良さが伺える出来事でした。
このおじさんのおかげで、雨の中バスを待つ必要もなく、快適にサッサリまで行くことができました。
おじさん、ありがとう。
Mercato Civico(チビコマーケット)
車を止めてくれたチビコマーケットの近くに本日の最初の見所、「ロゼッロの泉(Fontana di rosello)」という古代からの噴水があります。
しかし、少し早すぎたのでしょうか、まだオープン前でゲートは閉まったまま。
門扉にはイタリア語と英語で書かれた料金とオープン時間の張り紙がありました。
・火曜日、日曜日:10:00-13:00
・水曜日〜土曜日:10:00-13:00, 15:00-18:00
・月曜日と祝日はお休み
・ガイドツアーは予約
大人:4€
割引券(6-25歳のグループ):3€
学校:2.5€
複合チケット(電話)
そこで、先に夕食のお魚を買いにロゼッロの泉の近くにあるチビコマーケットへ。
エビやタコやイカ、そしていろんな種類の魚が整然と並んでしました。
これは沢蟹でしょうか。かけられた可愛らしい模様の布巾がイタリアっぽいですね。
こちらは何かの塩漬けのようです。下に貼られた文字を読むと、、。
BACCALÀ E FILETTO
タラとフィレ?BACCALAの下には黄色い文字で(Quello vero)とあります。どういう意味なんでしょう。本物?
本日の夕食はORATA(黒鯛-チヌ-)という魚のようです。一人一匹。
赤いシャツのお兄さんが鱗と内臓の処理をしてくれました。
せっかくのナイスショット!のはずが、残念ながらピンぼけです。お兄さんの肖像権は守れたような気がします、、。
なんとなく店内の雰囲気は伝わるでしょうか?
このあと買った鯛を冷蔵庫に入れるため、二人でTさんのご実家に行きました。
「アープリー(開けてー)♪」と二人で声を合わせて叫びながら階段を上がると「開け〜ゴマ❣」のようにドアがオープン。
今日は妹のSさんが素敵な笑顔で開けてくれました。
ダイニングテーブルに座ると妹のSさんがエスプレッソを入れながら「ロゼッロの泉」の英語ガイドのことを教えてくれました。
私のために事前に調べてくれていたようで、英語のガイドブックも用意してくれていました。
私の英語力で英語ガイドの言うことがわかるかどうかは疑問でしたが、少なくともイタリア語でガイドされるよりはわかるでしょう。
一息ついた後、Tさんと二人で観光センターへ。
Tさんが英語ガイドをお願いするとスタッフさんが電話で呼んでくれました。
ロゼッロの泉だけでなく市立博物館も案内してくれるようです。
市立博物館とロゼッロの泉
数分待ってガイドさんが到着。三人でまずは市立博物館(Thamus_Museo della Citta)を見学します。
1階には小さな劇場があって何か次の催し物のセッティングの最中でした。
残念ながらここは撮影不可で写真に収めることができませんでしたが、こじんまりした劇場も雰囲気があり、街の歴史をたどる民族衣装の変遷や職業ごとの衣装、お祭り行列の様子などをミニチュアの人形で表現した展示物も興味深かったです。
ガイドさんの英語もゆっくりはっきりでわかりやすく、大体は理解できたかなと思います。
残念ながら貧困な記憶力故、今となってはほとんど覚えていないのが残念です。(汗)
その後、町中をあるいてロゼッロの泉へ。
ロゼッロの泉はサッサリの街のシンボルとも言われています。
チビコマーケットの向かい側にある入り口から、坂道を降りたその先に噴水はあります。
この噴水は1600年代に作られ、昔はここまで来て水を汲み、ロバの背に乗せて運んでいたそうです。
以前イタリア本土に旅行に行った際に「イタリアの噴水の水は、今も飲めるほどきれい」ときいたことがあったので、「飲めますか?」と聞いたところ「今はもう無理でしょう」とのことでした。
四つ角の像とてっぺんに立つ像の雰囲気が違うような気がするのは私だけでしょうか?
噴水の奥には「ロゼッロの洗い場(Lavatoio di Rosello)」と呼ばれる古代の洗面所のようなものもあります。
ここでみんなでワイワイ言いながらお洗濯でもしたのでしょうか?
全然違うかも知れませんが、見ているうちにそんなことを想像しました。
当時のイメージ画と説明書が貼られていましたが、イタリア語だったので残念ながらよくわかりませんでした。
入り口から噴水まではそんなに急な坂道ではありませんが、雨上がりの芝は濡れて少々滑りました。
扉を出たところでガイドさんとはお別れです。
大学生のような若い女性のガイドさんは、わかりやすい英語でこちらの拙い質問にも丁寧に答えてくれ好感がもてました。
サッサリの街は、歴史と共存しているかのように、古い建物が溶け込んで並んでいます。
ベージュ色で石造りの建物は派手さはありませんが、歴史と落ち着いた貫禄を感じます。
chiesa della trinita(三位一体教会)
そしてここからは二人でロゼッロの泉の隣にあるchiesa della trinita(三位一体教会)へ。
シンプルな教会内の一角には「カンデリエーリ」の蝋燭が置かれていました。
カンデリエーリは、毎年8月14日に行われるサッサリの伝統行事で、何体もの巨大な木製の蝋燭を持ってカステロ広場からサンタ・マリア教会まで練り歩くお祭りです。
この蝋燭は、当日まで各教会で保管されているそうです。
妹のSさんは毎年このお祭りを楽しみにしているそうで、「きれいな装飾がなされた蝋燭が街中を練り歩く光景は『それはきれいで街中が活気に満ちている』」と目を輝かせて話してくれました
今度来る時は、ぜひ日程を合わせたいなと思います。
・・・もう次回の予定は万端です😂
教会の中はシンプルですが、歴史を感じる落ち着いた雰囲気があります。
天井にも四季を表すような宗教画が描かれています。
入り口には、額の装飾と刺繍のようなイラストがとってもかわいいタイムスケジュール表が。
お誕生日プレゼントを買う
教会を出て二人で歩いていた時、昨日からずっと思っていたことをTさんに話してみました。
「Gさんにお誕生日プレゼントを何かしたいのだけれど」
その言葉に彼女はとても喜んでくれましたが、何をプレゼントするべきかが問題でした。
私はこの数日ずっとお世話になっていることを考えても、何か記念になるようなものをしたかったのですが、彼女はやはり気を使ってくれたみたいです。
悩んだ挙げ句、Gさんはヘビメタが大好き(特にメガデス)なので、CDを買うことにしました。
選択はTさんにおまかせしましたが、近くのCDショップではピンとこなかったのか、バスに乗ってショッピングセンターまで行くことに。
バス代といえば、このバスもなのですが、サッサリのicocaのようなカードは自分以外の人の分も払え、ピッ、ピッと2回タッチすると2人分になるみたいです。
たまに、何度トライしても全然反応しないときもあるのですが、その時は「諦めて?」そのまま降ります。(無賃乗車?)
おおらかなんでしょうね。
運転手さんも周りも何も言いません。
サッサリ中心部からちょっと離れた大きなショッピングセンター「Centro Commerciale Auchan Sassari」には、かなり広めのCDコーナーがありました。
今度こそ探せるかなと思っていたのですが、やはり気に入ったものがない様子。
もしかしたら金額を気にしていたのかも知れません。
気づけばお昼の時間です。
そこで、ちょっと気を取り直してランチにピザを食べることにしました。
ここのピザ屋さんでは、彼女と同じジムに通う友人が働いていました。
友人を見つけて声をかけ、注文したピザは、、サービスでした。
Tさんはもちろん払うと意思表示しましたが、笑顔で何やら語りかけて結局無料になりました。
みんなTさんのことが大好きなんですね。
そのご相伴に預かりまくりな私です。
このピザは、どちらかというとパンのような生地で優しい味でした。
ピザを食べながら、他に何かいいプレゼントがないか二人で話し合いました。
「靴下とかはどう?」と聞いてみるとしばらく考えて「ネックウォーマーがいいかも!」とひらめいてくれました。
そこで、昼食後に隣にある衣類をメインに置いているショッピングセンターに入り、ネックウォーマー探し。
彼女が選んだのは赤いフリースのネックウォーマー。
しかし、や、安い。
その時、彼女は靴下を2足選んでいたので「その靴下も買せて〜」というと頑なに拒否します。
いやいや、それも買わせてくださいと2つ買いました。
あとから気づいたのですが、靴下は彼女が自分用に選んだものでした。😂
おかげでTさんにも少しばかりのお礼ができて少し気持ちが楽になりました。
聖フランチェスコが立たずむ公園
サッサリまで戻ったところで、商品をラッピングしてもらいにお母さんのところろへ。
途中でTさんが大好きだという「聖フランチェスコの噴水」のある公園に寄りました。
聖フランチェスコといえばアッシジの教会が有名ですが、清貧をモットーとし、貧しい人のために尽くした聖人です。
また、動物の言葉がわかるとも言われ、特に小鳥に説教をしたという有名な逸話があるそうです。
この噴水はその場面を再現したものでしょうか。
噴水を覗き込む聖フランチェスコの向かい側には、小鳥が集まっています。熱心に耳を傾けているようにも見えますね。
見ていると気持ちが落ち着くような、ずっと見ていたいような噴水で、Tさんがここが好きなのがわかる気がしました。
しばらくこの噴水の前のベンチに座り、ノートを広げて勉強したり、憩う人々を眺めたりして過ごしました。
親戚が集う素敵な日常
家に帰っておかあさんにラッピングのお願いをすると、張り切って包装用品をまとめた缶を持ち出し、包装紙やリボンを広げて見せてくれました。
それらの包装紙のデザインやイラストが、なんともいえないノスタルジックな優しい香りを漂わせています。
「まだ子供が小かった頃から、ずっと大切にしまっていた」という雰囲気で、おかあさんの子供や孫たちへの愛情をそこにも感じることができました。
「どの紙にする?リボンはどれがいい?」
そういいながら選んでくれた包装紙で、ネックウォーマーを器用に包み、黄色いリボンも巻いてくれました。
私の母も手先が器用で、ラッピングはいつも母に頼んでいましたが、ここの家族も似ているなぁと思いました。
そのままご実家に滞在し、Gさんの帰りを待つ間、色んな人がこの家に立ち寄って来ます。
近くに住む親戚が仕事帰りに来たかと思うと、挨拶もそこそこに部屋にあったホウキとチリトリを取り出し、みんなと会話をしながら床を端から端まで綺麗に掃いていきます。
その一連の動作のまぁ日常的で自然なこと。
一通り掃除が終わったところで、今度は双子の姪っ子の一人が帰ってきました。
アートスクールに通っているそうで、その宿題をテーブルで始めます。
ふっくらした頬をピンク色に染めて明るくご挨拶してくれ、素朴な感じの可愛い子だなぁと思っていたのですが、次に帰ってきた双子のもう一人を見て少し驚きました。
彼女はヘアスタイルもバッチリ決め、ボーイ・ジョージばりのくっきりメイクにピアス。華奢な感じのスキニーさん。
こちらは見かけによらず恥ずかしがり屋さんのようで、細い体をくねくねさせながら微笑むばかり。
同じ双子でも性格も雰囲気もこんなに違うこともあるのだと感心しました。
人が、一人増え、二人増えしてダイニングが満員になりかけた頃にGさんが仕事から戻ってきましたので、冷蔵庫のお魚と共に三人で家路につきました。
そう、今日の晩御飯はお魚!
サッサリに着いたときに、スーパーで買ったあのお魚をホイル焼きにしてくれました。
じゃ~~ん!
食べ始めたところでGさんが「彼女、フォークで魚の身ができるかな?」とTさんに聞いてくれていました。
Tさんが英語で「フォークで魚、大丈夫?」と聞いてくれたので「やってみます」と言うとそのままGさんに伝えてくれたのですが、「身をほぐしましょうか?」と食べるのを中断し、おもむろに私のお皿をもってキッチンまで戻り、身をほぐしはじめました。
自分の魚が冷めてしまうことも気にせず、真剣な表情で丁寧に身をほぐしてくれました。
キレイにほぐしてくれた身には、骨が一つも残っていない完璧な仕事でした。
すばらしい!Bravisssssssssimo!
食後のデザートはSebadas(セバダス)。
セバダスは、ペコリーノチーズをセモリナ粉でラビオリの様に挟んで揚げたものです。
サルデーニャの伝統的なデザートだそうで蜂蜜をかけていただきました。
蜂蜜に合う素朴な味で美味しかったです。
写真を見ていたらまた食べたくなりました。
食後には食器を洗い、その後は鼻歌を歌いながら掃除機をかけ、洗濯物を取り入れるGさん。
どれもこれもが「やらされてる感」や「やらなければ感」が全く見受けられず、ただただ、呼吸をするかのごとく自然に淡々と一連の動作を流れるようにこなしていきます。
なんて奴だっ!素晴らしすぎます。
私にその爪の垢をくださいっ!
ささやかなサプライズプレゼント
シャワーを先に頂いてダイニングに行くと、Gさんはまだ湿っている洗濯物を乾きやすいように広げている最中。
その背後で、おかあさんに包んでもらったプレゼントを後ろ手に持ち、Gさんが振り向くまでニヤニヤして体を左右前後に振りながら、謎のクネクネダンスを繰り広げるTさんと私。
その気配を感じて振り向き、奇妙な私達を見て「何?何?何?なんで踊ってるの?」と笑いながら聞いてきたので、声を合わせて「ハッピーバースデー!」と言ってプレゼントを渡しました。
少し驚いた様子でしたが、嬉しそうにプレゼントを受け取り開けてくれました。
ネックウォーマーが欲しかったと言って喜んでくれたのでホッとしました。
今日一日Tさんに付き合ってもらえて良かったです。
幸せな毎日があっという間に過ぎていきます。
明日はちょっとおもしろい体験をしましたよ♪
この時の様子を動画にしました。よろしければご覧ください