サッサリ街めぐりーその1:教会−(七日目)
【23 Nov. 2018】 -サルデーニャ七日目-
昨日の晩は「明日は家で日本語を勉強したい」と言っていたTさん。
ところが朝、遅めに起きてきた私を、待っていたかのように、こう話しかけてきました。
「kaeru、教会を見たいと言っていたよね?今日はサッサリに行きましょう」。
昨晩Gさんが説得したのか、自分で一人悩んで出してくれた答えなのかはわかりませんが、サッサリまで出ていくことにしてくれたTさん。
「いいの?」
「ええ、kaeruが見たいと言っていた教会を見に行きましょう!」
その気持に嬉しいような申し訳ないような、複雑な気持ちで少し戸惑いましたが、そう決めてくれた彼女の思いを受け止め、最後の一日をしっかり楽しもうと思いました。
今日は一日家で過ごすのだと思って、ゆっくり起きだしてきてしまった私のせいで、バスの時間が目前です。
朝食後、急いで準備をして、バス停に向かいました。
ところが、これがまた裏目に、、、。
どうやら慌てて用意をしたので、大切なノートと鉛筆を入れ忘れてしまったようです。
そのことをバス停に到着して気づいたTさん。
しかし、バスはもうすぐそこまで来ています。
「取りに帰る?」と聞きましたが、これを逃すとしばらくバスは来ないためか、Tさんは「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせるように到着したバスに乗り込みました。
サッサリに着いた頃には、なんとか気を取り直して明るい笑顔を見せてくれたので、そのまま教会巡りをはじめることに。
カンデリエーリのゴール、Santa Maria di Betlem(サンタマリア ディ ベトレム教会)
まずは、サンタマリア ディ ベトレム教会へ。12世紀のはじめに建てられた教会だそうです。
この教会は、毎年8月14日に行われる「I Canderieri(カンデリエーリ)」のお祭りのゴールになる教会です。
カンデリエーリとは、「燭台」という意味で、沢山の綺麗なスカーフや飾り付けをした巨大な柱のような燭台を、屈強な男性が担ぎあげ、サンタマリア ディ ベトレム教会まで一日かけて練り歩くというお祭りです。
燭台は11体(2018年時)あり、職業別にMacellai(肉屋)、Fabbri(鍛冶屋)、Piccapietre(石工)、Viandanti(行商人)、Contadini(農民)、Falegnami(大工)、Ortolani(庭師)、Calzolai(靴屋)、Sarti(仕立て屋)、Muratori(左官屋)、Massai(地主)のグループに分かれています。
街を上げてのお祭りで、妹のSさんも毎年楽しみにしているそうです。
ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
こちらは裏側だったのかも知れませんが、こちらから入りました。
ドームの下にマリア像が彫られています。
建物はロマネスク様式で、シンプルな中にも歴史と堂々とした風格を感じます。
教会内は思わず息を呑むような美しさと荘厳さ。
正面の祭壇のアーチ状の天井に施された装飾と宗教画、高さを変えて配置されているシャンデリアがとても美しく素晴らしかったです。
地車の山車の保管場所のように?カンデリエーリの燭台も数体、お祭りまでこの教会の各礼拝堂の傍らに配置されています。
autoferrotranvieri(公共交通機関?)の燭台は、今の所、持ち上げられて練り歩くことはないようです。
Ortolani(庭師)の燭台は2台置かれていました。
向かって左の燭台が現存する燭台の中でもかなり古いもののようです。
Sarti(仕立て屋)の燭台だけ礼拝堂の傍らではなく、外に置かれていた訳は、、。
礼拝堂が只今修復中だったから。
前に立てかけられたフライヤーを見るとこんな感じの礼拝堂のようです。
もう少し綺麗な画像を見せてほしかったですが、このお知らせが貼られてからもずいぶん年月が経っていそうですね。
下の画像のMuratori(左官職人)の燭台は、他の祭壇とは少し違う雰囲気で、白を基調にした祭壇に青い衣が映えてとても美しいです。
他の祭壇よりも新しいように見えます。近づいて良く見てみたかったのですが、、、。
実は燭台も祭壇も閉じられた鉄の扉の奥に置かれています。
祭壇の向かって左には嘆き悲しむようにハンカチで目を押さえる像が、右には何かを訴えかけるような像が。
私にはどういった内容なのかはわかりませんでしたが、何かのストーリー、教えを表したものなのでしょう。
それぞれの礼拝堂も素晴らしいですが、教会内のどこをみても美しく見惚れるばかりです。
趣のあるパイプオルガンを囲む一角は調和の取れた色彩や彫刻も美しく、その音色もさぞや美しいのではと想像しました。実際に聞いてみたかったです。
金色に豪華に縁取られた美しい説教壇には沢山の天使たちが。
美しく装飾されたカンデリエーリが、お揃いの衣装をまとった屈強な男性たちに持ち上げられ、パフォーマンスしながら人混みを賑やかに練り歩く勇姿を想像しながら、いつかきっと見に来ようと心に誓いました。
こちらが正面玄関ですね。
教会の前には、水は出ていませんでしたがかなり古そうな噴水がありました。
調べてみましたら16世紀の噴水で「ブリリアドーレの噴水」というそうです。
サッサリの町並みを歩く
スイーツショップ「Pasticceria VANALI」
教会を出てからしばらく歩くと、Tさんはスイーツショップ「Pasticceria VANALI」へ入っていきました。
そこで日本へ明日帰る私のお土産にとチョコレートを買ってくれました。
「1つはkaeru、1つはおかあさん、1つはおとうさん」となんと3箱も!買ってくれました。
「サルデーニャの甘い思い出(Dolci Ricordi di Sardegna)」なんだか北海道の「白い恋人」のようなネーミングです😁
三色あるので違う味なのかな?と思いましたが、みんな同じ味でした。
「レモンチェッロ、ミルト、西洋ヤマモモ」で作られた具?詰め物?をチョコレートでコーティングしている感じです。
味は外側のチョコレートの味がビターとミルクで、中身の味は変わりませんでした。
中の具は食感がザラザラというか栗まんじゅうの中身のような食べ心地です。
あまり日本では食べたことのない味と食感ですが、以前も同じ様にチョコレートでコーティングされたお菓子を送ってくれたことがあったので、サルデーニャでは定番のチョコ菓子なのかもしれません。
残念ながらパッケージだけで中の写真を撮り忘れてしまいました。
形はサルデーニャの島の形とサルデーニャの遺跡「ヌラーゲ」を形どったものの2種類。
お土産までいただくと「あぁもう明日は家路につくのだな」としんみりとしてしまいました。
店内を少し見せてもらいましたが、日本のケーキとはちょっと形も盛り付け方も違いますね。
陳列されたクッキーの下には何やら工具のようなものが並んでいました。
お菓子を作るにしてはかなり男前でガテン系な雰囲気の道具ですね。😂
どうやって使うんでしょうね。
サッサリの壁を彩る壁画たち
お店を出て、そのまま道なりにお散歩。
木製の塀には沢山絵が描かれていて、これを見ながら歩くのもまた楽しい。
先程おみやげに頂いたチョコレートのパッケージにも描かれていましたが、これはサルデーニャの島の旗で、描かれているのはムーア人だそうです。
近くのフランスの島コルシカでもムーア人が島の旗になっているということです。
そして、カンデリエーリの様子を描いた絵も!
沢山のスカーフをひらめかせながら、人混みの中、サンタマリア ディ ベトレム教会へ向かう様子でしょうか。
サンアントニオ広場(Piazza Sant’Antonio)
道なりに歩いていくと、背の高い円柱と、その背中に何本もの蝋燭を突き刺した巨大な亀の壁画が目を惹くサンアントニオ広場(Piazza Sant’Antonio)に出ました。
この亀の絵、今はずいぶん色あせていますが、描かれた当初(2015年に描かれています)の画像をウェブサイトで見ると、とても濃くて鮮やかな色でした。
今でも十分目立ちますが、出来上がった当時は遠くからでもかなり異彩を放っていたのではなかろうかと想像できます。
背中の10本の蝋燭は、カンデリエーリの燭台をイメージしているのでしょうか。
海から上陸した亀の目線の先には工場の煙突が見えるので、環境破壊などへの警告のようでもあります。
この建物は1940年代に建てられたホテルで、廃墟になっているそうですが、日本なら絵を描くのではなく、プロジェクションマッピングでもしそうですね。
巨大な亀を従えるように前には、エジプトの遺跡の柱のようにグルリと全面に彫刻がされた古い円柱があります。
この円柱はタボララさんとう言う方が作られた噴水だったそうです。
円柱の天辺におられるのはパドヴァの聖アントニオ、彫刻はサルデーニャの歴史上の有名な出来事が彫られているようです。
それにしても歴史を感じる円柱の後ろに巨大な亀。
何ともシュールな取り合わせです。
サンアントニオ教会(Chiesa di Sant’Antonio Abate)
広場の横にはサンアントニオ教会(Chiesa di Sant’Antonio Abate)がありました。
それで、ここがサンアントニオ広場(Piazza Sant’Antonio)なんですね〜。
中では子どもたちが歌の練習をしていました。
天井まで届く大きな祭壇をもう少し近くで見てみたかったですが、練習の邪魔になるといけないので、遠くから。。
ここにも先程サンタマリアディベトレム教会でみたのとよく似たPiccapietre(石工)の燭台がありました。
燭台に飾られた花輪の後ろの傍の文字を読んでみたら「カンデリエーリの参加証明書」と書かれているようでした。
記念品?
サンアントニオ教会を後にして、また町並みを楽しみながら次の教会へと歩きます。
大阪ではお寺が多いことで有名なのは地下鉄の四天王寺駅周辺ですが、ここサッサリでは教会が沢山あります。
その他の教会(外観のみ)
外観のみとなりますがいくつか教会をご紹介いたします。
※ピンク枠は立てかけてある看板をグーグル先生に訳してもらったものです。
117世紀、ゴシック様式。1651年に火災により破壊、1906年に再建。
まだ修道女が住んでいる修道院。インテリアはバロック様式
13-17世紀。ゴシック様式、1695年拡大
どこもそうですが、どうして貴重な歴史的建造物に落書きをするのか、、。
荘厳なバロック様式のファサードが圧巻の「サン・ニコラ大聖堂(Cattedrale di San Nicola)」
そしていよいよサン・ニコラ大聖堂へ。
数日前にもこの前を通って、その大きさと彫刻に驚いたのですが、時間が遅く中に入れませんでした。
今まで見てきた教会は結構シンプルな外観だった分、この大聖堂を見たときには余計に印象に残りました。
まさしく威風堂々たる姿です。
巨大な建物で全景を写すには私のカメラのレンズでは難しく、かなり離れてスマホの超広角で撮りましたがこのくらいまでしか収まりませんでした。
できるだけ拡大してみました。本当に細かい仕事ですね。
ファザードの側面にも細かく装飾がなされています。
今日は中にも入れそうです。しかし、、、。
せっかく中に入れましたが、清掃中で真ん中の通路は通れず、、。
なんとか通れるところを探して撮影してみました😂
こちらの大聖堂も一角が修復工事中のようでした。
覗いてみると、ずいぶん細かい装飾がなされている礼拝堂のようなものが見えます。
見えないとなると余計に見てみたくなりますね。
この大聖堂にも、2本のカンデリエーリの燭台が置かれています。
これはCalzolai(靴屋)の燭台。
白が貴重になっていて天辺の王冠のような膨らみが可愛いですね。
Fabbri(鍛冶屋)の燭台は、上部をスカーフで飾られたまま置かれていました。
掃除のおじさんの目を気にしつつも近づけるところまで近づいてみました。😂本当はスカーフの模様ももう少し細かく見てみたかったのですが、これが限界でした。
扉を入ったところの天井に近い場所にはパイプオルガンがありました。
教会のパイプオルガンといえば、この位置に置いてあるのが多いように思いますが、ドーム型の天井によって音が綺麗に響くのでしょうか。
扉を出たところの天井も鉄の門扉の装飾も素敵でした。
ここからは少しお散歩。外国へ行くと日本と違う町並みに、通りを歩くだけでも楽しいです。
ドアノブを掴む手の形をしたドアノックを見ると、思わずノックしてみたくなります。
ひらひらしたブラウスの袖口や、ちゃんと指輪をしているところもオシャレです。
通りがかったTOLA広場では、何店か古着屋さんがお店を出していました。
普段のTola広場はこんな感じ。
広場の真ん中に鎮座する像がTolaさんです。
フルネームは「Pasquale Tola 」。判事、歴史家、政治家と多彩な方だったようで、広場が出来るくらいですからかなりこの土地に貢献した方なのでしょう。
小高い丘に建つサン・フランチェスコ教会(Chiesa di San Francesco)
Tola広場を抜けて坂を登った小高い丘にあるのが、サン・フランチェスコ教会(Chiesa di San Francesco)です。
他の教会と違って全体的にピンクがかったオレンジで、レンガ造りのファザードが印象的です。
大きな教会ではありませんが、暖かい光に包まれた静かで落ち着く空間です。
教会の礼拝堂の1つはとても綺麗な服飾のパターンのような模様で飾られ、アーチ状の部分には「Io sono la vite voi I tralci.」と描かれています。
帰ってきてから調べましたが、これは「私はぶどうの木、あなた方はその枝です。」とキリストが弟子たちに話した言葉で、ぶどうの木に枝がつながっていなければ実をつけることもできないという意味だそうです。
よく見るとこの絵はその言葉を表現していて、沢山の葡萄の実る枝が伸びてそれをついばむ鳥たちが飛び交っています。
私はキリスト教徒ではないので言葉の意味がわからず、その言葉の上に音符のようなものが描かれていたので、何か音楽の題名のようなものが書かれているのかと思っていました。(汗)
さて、教会巡りもここでお終いです。
この時の様子を動画にしました。よろしければご覧ください
少し長くなりましたので後半は(その2)で。。。